菊池寛『藤十郎の恋』(小説・1919年)

2016/6/14 『ある恋の話』から役者つながりで選択。 坂田藤十郎が演技の工夫のため、人妻を口説き落とす話。 芸のためなら手段を選ばない藤十郎の非情さを描いた話だと思っていた。 読み返すと、思っていたより、そうせざるを得ない追い詰められた状況だったということがわかる。 ところで、菊池寛は意思と行動のギャップを描いた話が印象的。 『身投げ救助業』しかり『首縊り上人』しかり。『仇討禁…

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菊池寛『ある恋の話』(1918年)

2016/6/12 菊池寛が妻の祖母から聞いた話。 身売り同然で嫁いだのち、離縁。 多額の子供の養育料を貰ったが、男性不審から再婚をせず、子供と二人暮らしをする。 そのころ、唯一男性に恋をしたときの話。 その男性はで染之助という人気のない役者。 自分だけが魅力を感じているところ、舞台をおりたオフモードの染之助を見て冷めるところ、ちゃんと「恋」の始まりと終わりを描いた物語になっている。…

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菊池寛『易と手相』

2016/6/11 菊池寛が三十くらいの頃に手相を見てもらった話。 この文章は後日書かれているが、初出がはっきりしない。1920年代くらいか。 菊池によると、そのときの占いが当たっていたので、手相占いは割合信用できるそうだ。 同行していた芥川は、「むろん諸君も想像する通り」観てもらわなかった。 芥川が占いの類を信用しそうにもないということは、当時の読者にも共有されていた感覚だったという…

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