菊池寛『義民甚兵衛』(戯曲)

2016/6/10 母親や兄弟たちから虐げられている甚兵衛が、一揆騒動を経て結果的に復讐を果たす話。 「聖なる愚者」が悪人を懲らしめる型の話は、古今東西、いろいろありそう。 過程の組み立て方が巧みで結果が悲惨。 家族を磔にし、甚兵衛が高笑いして終わるえげつないラストで、ありがちな話に見せ場を作っている。 高笑いする人物と、それを讃える人々という構図は一幕のラストと同じ。 愚かな甚兵衛…

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菊池寛『恩を返す話』(1918年)

2016/6/2 武士の神山甚兵衛が、戦場で命を救ってくれた佐原惣八郎に恩を返そうとするが、なかなかうまくいかない話。 この話のキモは、甚兵衛が惣八のことを、あまり快く思っていないということ。 恩返しの動機は、善意ではなく、引け目からの不快感を払拭したいということ。 彼も構造もひねくれている。 惣八は有能でなかなか恩返しをさせる隙を見せず、甚兵衛の不快感は20年たっても消えない。 …

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菊池寛『女盗賊』(1947年)

2016/6/1 女盗賊のエピソードふたつ。 潜入した盗賊段のかしらが実は検非違使の家の女中だったという話。 あとで女だとわかるけど、地の文で「首領格の男」と書いている。 主人公の目線で言うなら、もう少し表現変えたほうがよさそうだけど。 菊池寛作品はあまり細かいことは気にしないタイプらしいけど、ここもそういうことなのか。 次に、同棲していた謎の女の指示で、失業した侍が悪事を働く話…

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