菊池寛『青木の出京』

2016/4/8

雄吉が若いころ心酔していた「青木」が想像を絶するダメ人間だったという話。

ダメ人間ぶりがある段階を超えてしまうと、どんなに馬脚を現しても、心酔している側が勝手に理屈をコネてフォローを始める。

結果、自分がひどい目にあったとしても、フォローしている自分に酔える。

読んでいると「雄吉、早く目を覚まして!」と何度も思うけど、なかなか彼は目を覚まさない。

しつこいほどに愚かに愚かを重ねていく。

菊池寛は人の愚かさを温かく書くのがうまい。

「人を好きになる」という一見善い感情と思われるものが、人をどんどん不幸にしていく。

雄吉は、対象から離れて、やっと愚かだった自分に気付く。

詐欺とかイジメとか、政治なんかでも同じような構造は色んな分野で見ることができる。

「なんで若いころはあんな男にキャーキャー言ってたんだろう?」という経験のある人にも共感できるはず。

青空文庫:青木の出京

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