菊池寛『ある恋の話』(1918年)

2016/6/12
菊池寛が妻の祖母から聞いた話。
身売り同然で嫁いだのち、離縁。
多額の子供の養育料を貰ったが、男性不審から再婚をせず、子供と二人暮らしをする。
そのころ、唯一男性に恋をしたときの話。
その男性はで染之助という人気のない役者。
自分だけが魅力を感じているところ、舞台をおりたオフモードの染之助を見て冷めるところ、ちゃんと「恋」の始まりと終わりを描いた物語になっている。
祖母の容姿がよかったことを嫌味なく描くのも結構むずかしいことをしていると思う。
公私の区別が着かない染之助はとても残念で、もうひとつの役者を描いた作品『藤十郎の恋』と比較してみたい。
菊池寛の初期作品群はほんとに良く出来ている。なかなかはずれがない。
あまりにもよく出来た話なので、たぶん大幅に脚色されていると思われるが、本当かどうかはそんなに重要ではない。

青空文庫:ある恋の話

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