菊池寛『藤十郎の恋』(小説・1919年)

2016/6/14
『ある恋の話』から役者つながりで選択。
坂田藤十郎が演技の工夫のため、人妻を口説き落とす話。
芸のためなら手段を選ばない藤十郎の非情さを描いた話だと思っていた。
読み返すと、思っていたより、そうせざるを得ない追い詰められた状況だったということがわかる。
ところで、菊池寛は意思と行動のギャップを描いた話が印象的。
『身投げ救助業』しかり『首縊り上人』しかり。『仇討禁止令』も最後に告白している。
反対に意思と行動にギャップがない人を描いているのが芥川。
『羅生門』や『地獄変』など。
藤十郎は、意思どおり行動した人だけど、わりと俗な感情からひどい行動に出ている。
「意思と行動」のテーマで考えると、芥川は「理想」を描いているのに対し、菊池は「現実」を描いているという仮説を立ててみる。
戯曲はまた違う書き方をしてそうだけど。

青空文庫:藤十郎の恋

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