菊池寛『蘭学事始』(1921年)

2016/7/29 杉田玄白は、前野良沢を苦手に思っている。 同じ学者でも社交的で調整型の玄白に対して、一途で頑固すぎる良沢は居心地の悪い存在だった。 その原因を学者としての嫉妬だと自覚して玄白は苦しんでいる。 『風雲児たち』の該当箇所を読んだばかりなので、ふたりの様子がみなもと太郎先生の絵で脳内再生される。 玄白にとって、良沢のような学者の鑑を煙たがっているということは、誰にも見せた…

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菊池寛『私の日常道徳』(1926年)

2016/7/27 菊池寛が道徳について箇条書きにしている。 ご馳走になるならない、お金を貸す貸さないの基準が細かい。 人によって貸せる額の上限を決めている。 よっぽど無心される機会が多いんだろう。 ご馳走になる時、まずいものおいしいとは言わないが、おいしいものは明らかに言う。 約束は守る。ただし原稿の約束は守り切れない…という落とし方。 人の悪口より、その悪口をわざわざ教えてくれ…

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菊池寛『奉行と人相学』(1948年)

2016/6/23 大岡越前守が人相見がうまくなったばかりに、犯人に先入観を持つことを恐れる話。 初出は1948年「新今昔物語」らしい。 この年、菊池は亡くなっている。 晩年の作品は淡白すぎて面白いものが少ない印象。 そのなかで、なんだかとぼけた味わいがある。 『易と人相』では、人相見は信用しないはずだったが、どういう心境の変化があったんだろう。 大岡越前が下手人の手相なんか見られ…

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